10GBASE-SR と LR の違いと使い分け — 距離・ファイバ・コストで選ぶ10G光モジュール

2026.07.31|選定ガイド|潤徳商事株式会社

10Gの光モジュールを調達するとき、最初に迷うのが「SRとLR、どちらを選べばいいのか」です。カタログには波長も距離も違う数字が並びますが、実務での判断はもっとシンプルです。本稿では結論から示したうえで、距離が微妙なときの考え方(リンクバジェット)やコストの比べ方まで整理します。個別の型番についてはSR編LR編もあわせてご覧ください。

10GBASE-SRと10GBASE-LRの波長・ファイバ種別・到達距離・用途・コストを比較した早見表。既設ファイバがマルチモードならSR系、シングルモードならLRを選ぶ判断ルール付き
図:10GBASE-SR と LR の早見表と判断ルール

結論 — まず既設ファイバを確認する

SRとLRの選択は、多くの場合「どちらが優れているか」ではなく「どちらのファイバが敷いてあるか」で自動的に決まります。SRはマルチモード(MMF)専用、LRはシングルモード(SMF)専用で、互いに互換性はありません。つまり判断の順序はこうです。

  • 既設がマルチモード(OM3/OM4など) → SR系を選ぶ
  • 既設がシングルモード → LRを選ぶ
  • これから敷設する → 距離と将来計画で決める(後述)

距離で決める — 300m と 10km の間をどう埋めるか

SRはOM3で300m、OM4で400m。LRは10km。この2つの間には大きな開きがありますが、実際の現場では「500m」「1km」といった中途半端な距離が出てきます。選択肢は次のとおりです。

  • SFP-10G-LRM(220m) — 古いOM1/OM2が敷いてある構内で、SRでは届かないときの救済策。ファイバを敷き替えずに延ばせます。
  • シングルモードへの敷設替え+LR — 300mを超えるなら、多くの場合これが現実解です。将来25G・40G・100Gへ上げる予定があるなら、SMFにしておくと長く使えます。
  • 25GならCSRという選択肢 — 25G帯にはOM3で300mまで延ばせるCSR(拡張SR)があります。

リンクバジェットの考え方 — 「規格上の距離」は上限値

カタログの到達距離は、あくまで理想条件での最大値です。実際のリンクが成立するかはリンクバジェット(光パワーバジェット)で判断します。考え方は難しくありません。

  • 使える光の量 = モジュールの最小送信光出力 −(マイナス)受信感度。この差が「予算」です。
  • 消費される光の量 = ファイバ損失(距離×dB/km)+ コネクタ損失(1接続あたり約0.5dB)+ 融着点の損失。
  • 予算が消費を上回り、さらに3dB程度の余裕(マージン)が残れば、安定して運用できます。

特に見落とされがちなのがパッチパネルの数です。距離が短くても、途中に何段もパッチパネルが入るとコネクタ損失が積み上がり、リンクが不安定になることがあります。距離が規格値に近い場合は、モジュールのDDM機能で実際の受信光レベルを確認するのが確実です。

コストの見方 — モジュール単価だけで比べない

モジュール単体ではSRの方が安価です。しかし総コストで見ると話が変わることがあります。

  • ファイバの工事費:既設MMFを流用できるSRに対し、LRはSMF敷設が必要になる場合があります。短距離では工事費がモジュール差額を大きく上回ります。
  • 将来の拡張性:SMFは25G・100G以降も同じ配線が使えます。MMFは高速化のたびに距離が縮むため、OM3では25G時に70mまで落ちます。
  • 消費電力:SR・LRとも約1Wで大差なく、電力はほぼ判断材料になりません。

短距離が中心のデータセンター内配線ならSR、拠点間や将来の高速化を見据えるならSMF+LR — これが基本的な考え方です。ファイバ自体の選び方は「光ファイバの選び方」で詳しく解説しています。

互換モジュールを選ぶときの注意点

SR・LRどちらを選ぶ場合も、互換モジュールの確認事項は共通です。①機種に合わせたコーディング指定が可能か、②DDM対応か、③認証・製造品質、④保証と初期不良対応、⑤国内サポート — 詳しくは「互換光トランシーバ選定の5つのチェックポイント」をご覧ください。

VELRAではSFP-10G-SRSFP-10G-LRSFP-10G-LRM をいずれも全数互換テスト・3年保証・国内サポートでご用意しています。「この距離でどちらを選べばいいか」「既設ファイバの種別が分からない」といったご相談も歓迎です。

本記事は一般的な技術情報の提供を目的としており、特定の構成での動作を保証するものではありません。到達距離は規格上の最大値であり、実際の敷設状況・コネクタ数により短くなります。リンクバジェットの数値はモジュールの仕様書をご確認ください。記載の社名・製品名は各社の商標です。