SFP-10G-SR-S とは — SFP-10G-SR との違い、末尾「=」の意味、S-Class の選び方

2026.09.24|選定ガイド|潤徳商事株式会社

見積書や保守部品のリストに「SFP-10G-SR-S=」とあり、手元の SFP-10G-SR と同じものなのか迷う——Cisco の 10G 光モジュールでは、よくある場面です。型番の違いは末尾の数文字ですが、意味を知っておけば、発注の取り違えや不要なコスト増を防げます。本稿では Cisco が公開しているデータシートをもとに、SR 系4型番の違いと選び方を整理します。

結論 — 光は同じ、違うのは「対応範囲」

  • SFP-10G-SR-S は SFP-10G-SR の S-Class 版です。波長 850nm、OM3 で 300m・OM4 で 400m という光学仕様、消費電力 1W、動作温度 0〜70℃ は、どちらも同じです。
  • 違いは対応範囲です。S-Class は Ethernet(10GBASE-SR)専用で、Cisco のデータシートには「SFP-10G-SR-S は FCoE に対応しない」と明記されています。
  • 末尾の =スペア(単品)として発注するときの品番表記です。モジュールそのものは同じです。
  • 片側が SR、もう片側が SR-S でも、どちらも 10GBASE-SR なのでリンクは確立します。
Cisco SFP-10G-SR 系の型番の読み方と、SR・SR-S・SR-X・SR-I の動作温度・対応プロトコルの比較図。SR と SR-S はどちらも 0〜70℃で、SR-S は Ethernet 専用・FCoE 非対応。-X は −5〜85℃、-I は −40〜85℃
図:SFP-10G-SR 系4型番の違い(Cisco 10GBASE SFP+ Modules Data Sheet より作成)

型番を分解して読む

Cisco の光モジュールの型番は、左から順に意味が並んでいます。SFP-10G-SR-S= を分解すると次のとおりです。

  • SFP — 形状(フォームファクタ)。10G では SFP+ を指します。
  • 10G — 伝送速度。
  • SR — 規格。10GBASE-SR、つまり 850nm・マルチモードファイバ用です。LR なら 1310nm・シングルモードの 10km 用になります(SR と LR の選び方)。
  • -S — S-Class。Ethernet 用途に絞った、企業ネットワーク・データセンター向けのラインです。
  • = — スペア品の発注記号。仕様には関係しません。

-S と同じ位置には、-X(拡張温度)や -I(産業用温度)が付く型番もあります。4つを並べると違いがはっきりします。

SR・SR-S・SR-X・SR-I の違い

型番動作温度データシート上の対応主な用途
SFP-10G-SR-S0〜70℃10GBASE-SR(Ethernet 専用)
FCoE 非対応と明記
空調のある室内の LAN・データセンター
SFP-10G-SR0〜70℃10GBASE-SRFCoE を使う構成
SFP-10G-SR-X−5〜85℃10GBASE-SR / 10GBASE-SW / OTU2e(マルチレート)屋外盤・非空調の設置場所、OTN
SFP-10G-SR-I−40〜85℃10GBASE-SR / 10GBASE-SW / OTU2e、CPRI産業用途・無線基地局など

4型番とも光学仕様は共通で、波長 850nm、OM3 で 300m、OM4 で 400m、消費電力は 1W です。古い OM1 では 33m、OM2 では 82m まで短くなります。ファイバ種別ごとの距離の考え方は「SFP-10G-SR 互換モジュール選定ガイド」で解説しています。

見落としやすいのは、SR(-S なし)と SR-S の動作温度は同じ 0〜70℃ という点です。「S-Class は温度範囲が狭い廉価版」と説明されることがありますが、Cisco のデータシート上、温度範囲が広いのは -X(−5〜85℃)と -I(−40〜85℃)です。温度条件の厳しい場所で選ぶべきなのは、-S なしの SR ではなく -X / -I です。

どれを選ぶか — 確認するのは3点

  • ① FCoE を使うか — 使う場合は -S なしの SFP-10G-SR を選びます。S-Class は FCoE 非対応です。
  • ② 設置場所の温度 — 空調の効いたサーバルームや通信室なら SR / SR-S で足ります。屋外の収容盤など温度管理のない場所は -X、寒冷地や工場などさらに厳しい環境は -I が候補です。
  • ③ Ethernet 以外で使うか — OTN(OTU2e)や 10GBASE-SW で使う場合は、マルチレート対応の -X / -I を選びます。

3点とも当てはまらない一般的な企業ネットワークやデータセンターの Ethernet 接続なら、SR-S で要件を満たせます。純正品では、機能を Ethernet に絞った S-Class のほうが -S なしより価格が抑えられているのが一般的です。

なお、どの型番がどの機種・OS バージョンで使えるかは、Cisco が互換性マトリクス(Cisco 10 Gigabit Ethernet Transceiver Modules Compatibility Matrix)で型番ごとに公開しています。長く更新していない OS では、後から追加された型番が対応リストにないこともあるため、導入前に確認しておくと安心です。

末尾の「=」は何を意味するか

Cisco の品番の末尾に付く = は、スペア(単品)として発注する場合の表記です。スイッチ本体と一緒に構成品として発注するときは、= の付かない品番が使われます。物理的な製品は同じで、SFP-10G-SR-S=SFP-10G-SR-SSFP-10G-SR=SFP-10G-SR は、それぞれ同一品です。

保守部品のリストや見積書では、両方の表記が混在しがちです。型番で調べるときは = を外して検索すると、目的の情報にたどり着きやすくなります。

25G・40G・100G の「-S」は同じ意味ではない

「-S は Ethernet 専用で FCoE 非対応」という整理は、10G の SFP+ に限った話です。

  • 25G — Cisco の 25GBASE-SR は SFP-25G-SR-S だけで、-S なしの型番はありません。CSR と LR は SFP-10/25G-CSR-SSFP-10/25G-LR-S という 10G/25G 両対応の型番です。25G のデータシートでは、これら3型番は「ホスト側ソフトウェアの対応を前提に FCoE をサポート」と記載されています。
  • 40G — Cisco の 40G データシートでは、QSFP-40G-SR4-S は 4×10G のブレイクアウトと FCoE に非対応、QSFP-40G-LR4-S は FCoE 非対応とされています。ブレイクアウトで使う予定があるなら -S なしを選びます。
  • 100GQSFP-100G-SR4-S のように -S 付きの型番がありますが、仕様の差は世代・製品ごとにデータシートで確認が必要です。
  • 他社の -S — Ruckus(旧 Brocade)の 10G-SFPP-SR-S も 10GBASE-SR の SFP+ ですが、Cisco の S-Class とは別メーカーの型番です。末尾が同じ -S でも、意味はメーカーごとに異なります。

他社型番との対応関係は「光トランシーバ メーカー型番 相互対応表」にまとめています。

互換モジュールを選ぶときの注意

SR と SR-S は光学的に同じなので、互換モジュールでも中身の光学部品は共通です。違いが出るのは、スイッチにどの型番として認識させるか——モジュール内の EEPROM に書き込むコーディングです。

  • ご使用の機種名と OS バージョンをお知らせいただければ、その環境に合わせて SR と SR-S のどちらでコーディングするかを決めてお届けします。
  • 対向側が純正の SR でも SR-S でも、10GBASE-SR 同士なら接続できます。
  • FCoE を使う構成や、屋外盤などの温度条件がある場合は、ご注文時にお知らせください。

VREN の SFP-10G-SR-S 互換モジュールは、全数検査・5年保証・先行交換に対応しています。型番の適合確認と評価用サンプルは無料です。

よくある質問

SR と SR-S を対向で混在させても大丈夫?

はい。どちらも 10GBASE-SR 準拠なので、片側が SR、もう片側が SR-S でもリンクします。

SR-S は SR より性能が低い?

到達距離や送受信のパワー範囲といった光学性能は同じです。違いは FCoE 非対応などの対応範囲で、Ethernet 用途で使う限り性能差はありません。

屋外の盤に入れるなら SR と SR-S のどちら?

どちらも動作温度は 0〜70℃ です。温度管理のない場所では、拡張温度の -X か、産業用温度の -I を検討してください。

まとめ

  • SR と SR-S は光学仕様・消費電力・動作温度が同じ。SR-S は Ethernet 専用で FCoE 非対応。
  • 温度で選ぶなら -X(−5〜85℃)か -I(−40〜85℃)。-S の有無は温度と関係しない。
  • 末尾の「=」はスペア品の発注記号で、中身は同じ。
  • 25G 以降の -S は意味が異なる。型番ごとにデータシートで確認する。

参考資料

本記事は Cisco Systems が公開している「Cisco 10GBASE SFP+ Modules Data Sheet」「Cisco 25GBASE SFP28 Modules Data Sheet」「Cisco 40GBASE QSFP Modules Data Sheet」(2026年9月時点)に基づく一般的な技術情報です。仕様・対応機種は変更される場合があります。導入前に最新のデータシートと互換性マトリクスをご確認ください。記載の社名・製品名は各社の商標です。