10GBASE-T の SFP+ モジュール(RJ45)の注意点 — 30m の距離、2.5W の消費電力と発熱、対向との速度

2026.10.26|選定ガイド|潤徳商事株式会社

サーバーやスイッチの SFP+ スロットに挿して、光ファイバではなく LAN ケーブル(RJ45)で 10G をつなぐのが、10GBASE-T の SFP+ モジュールです。30m 以内(品種によっては 80m)なら既設の Cat6A の配線を使える一方、光のモジュールとは違う注意点があります。Fortinet・Cisco・MikroTik が公開している資料をもとに整理します。

結論

  • 10G で届く距離は最大 30m の製品が中心です。Fortinet の FN-TRAN-SFP+GC と Cisco の SFP-10G-T-X は、どちらも Cat6A 以上で最大 30m。規格上の 10GBASE-T(Cat6A で 100m)より短く、80m に対応した FN-TRAN-SFP+GC-T80 のような品種もあります。
  • 消費電力は 1.88〜2.7W(この記事で取り上げた製品)で、光の SR(FN-TRAN-SFP+SR は 600mW)の数倍です。Cisco は、すべてのポートに SFP-10G-T-X を挿して使うことはできないとしており、MikroTik は 1ポートおきに挿すよう案内しています。
  • 対応する速度はモジュールによって違います。SFP-10G-T-X は 100M / 1G / 10G、MikroTik の S+RJ10 は 10M〜10G の 6速度、FN-TRAN-SFP+GC はデータシートのデータレートが 10Gbps のみの記載です。対向が 1G や 2.5G / 5G の機器なら、つながる速度があるかを確認します。
  • 使えるかどうか、どんな設定が要るかは装着先の機種とファームウェアで決まります。たとえば FortiOS 6.0.6 のリリースノートでは、FortiGate-6000 で FN-TRAN-SFP+GC を使うときに、インターフェースの速度を 10000full に設定する必要があるとされています。

10GBASE-T の SFP+ モジュールとは

SFP+ スロットに挿し、モジュールの RJ45 に LAN ケーブル(ツイストペアの銅線)をつなぎます。装着先が対応していれば、光ファイバや光のモジュールを使わずに、SFP+ スロットしかない機器を Cat6A の配線で 10G 接続できます。主なモジュールの仕様は次のとおりです。

項目Fortinet
FN-TRAN-SFP+GC
Fortinet
FN-TRAN-SFP+GC-T80
Cisco
SFP-10G-T-X
MikroTik
S+RJ10
10G での距離30m
(Cat6A 以上)
80m
(Cat6A 以上)
30m
(Cat6A / Cat7 以上)
30m
対応速度10Gbps
(仕様表の記載)
10Gbps
(仕様表の記載)
100M / 1G / 10G10M / 100M / 1G /
2.5G / 5G / 10G
消費電力2.5W1.88W最大 2.5W
(10G 時)
平均 2.7W
(10GBASE-T・30m)

出典:Fortinet Transceivers Data Sheet(2026年5月26日版)、Cisco「10GBASE SFP+ Modules Data Sheet」「SFP+ 10GBASE-T Transceiver FAQ」、MikroTik「S+RJ10」製品ページ・「S+RJ10 general guidance」

10GBASE-T の SFP+ モジュールの比較図。10G で届く距離は FN-TRAN-SFP+GC・SFP-10G-T-X・S+RJ10 が 30m、FN-TRAN-SFP+GC-T80 が 80m、規格上の 10GBASE-T は Cat6A で 100m。消費電力は光の FN-TRAN-SFP+SR 0.6W、S+85DLC03D 0.8W に対し、10GBASE-T は 1.88〜2.7W。MikroTik は 1ポートおき、4ポート一体のケージでは 1ブロックにつき 1個を推奨している
図:10GBASE-T の SFP+ モジュールの距離・消費電力・挿し方(各社の公開資料より作成)

距離:10G では 30m 前後

規格上の 10GBASE-T(IEEE 802.3an)は、Cat6A(Class EA)で 100m まで届きます。非シールド(UTP)の Cat6 では 55m が目安で、エイリアンクロストーク(隣接するケーブルなどからの干渉)が最も厳しい条件(ケーブルを束ねた場合)では 37m に制限されることがあるとされています(Cisco のホワイトペーパー)。

一方、SFP+ 型のモジュールは 10G で最大 30m の製品が中心です。Cisco の SFP-10G-T-X と Fortinet の FN-TRAN-SFP+GC はどちらも Cat6A 以上で 30m、MikroTik の S+RJ10 も 10Gbps では 30m までです。Fortinet には 80m に対応した FN-TRAN-SFP+GC-T80 もあります。

  • ケーブルは Cat6A 以上 — Cisco・Fortinet の仕様では、10G で使うケーブルは Cat6A 以上です(Cisco は Cat6A / Cat7 以上)。
  • 速度を下げると距離が延びるものもある — SFP-10G-T-X は、100M / 1G なら Cat5e 以上で 100m です。
  • 30m を超える場合 — Fortinet には 80m の FN-TRAN-SFP+GC-T80 もあります(装着先の機種・FortiOS での対応は要確認)。それ以外は、光ファイバと光のモジュール(SR / LR)を検討します。

消費電力と発熱:挿せる数と位置が制限されることがある

10GBASE-T のモジュールは、光のモジュールより消費電力が大きくなります。FN-TRAN-SFP+GC は 2.5W、SFP-10G-T-X は最大 2.5W、S+RJ10 は平均 2.7W で、光の FN-TRAN-SFP+SR(600mW)や MikroTik の光モジュール S+85DLC03D(最大 0.8W)の数倍です。

  • Cisco — FAQ で、消費電力のため Cisco のスイッチとルーターでは、すべてのポートに SFP-10G-T-X を挿して使うことはできないとしています。どのポートで使えるかは機種ごとに異なり、互換性マトリクスやハードウェアのインストールガイドで確認するよう案内しています。
  • MikroTik — S+RJ10 は通常のモジュールより熱くなり、モジュール自体は 90℃ まで熱くなることがあるとしています。並べて挿すと過熱し、予期しない動作の原因になることがあるため、1ポートおきに挿し、間は空きか光のモジュールにするよう推奨しています。4ポート一体のケージでは、1ブロックにつき 1個を推奨しています。ファンのない(パッシブ冷却の)機器では、追加の冷却が必要になる場合があるとしています。

Cisco・MikroTik の資料のように、装着できる数や位置が決められていることがあります。装着先の機種のガイドで、挿せるポートの数と位置を先に確認します。

速度:対向が 1G・2.5G・5G の機器のとき

10GBASE-T のモジュールが対応する速度は、製品によって異なります。

モジュール対応速度
Fortinet FN-TRAN-SFP+GC / GC-T8010Gbps(データシートの仕様表の記載)
Cisco SFP-10G-T-X100M / 1G / 10G
MikroTik S+RJ1010M / 100M / 1G / 2.5G / 5G / 10G
VREN SFP-10G-T-30 / SFP-10GM-T-301G / 2.5G / 5G / 10G(マルチレート)

対向とつながる速度は、モジュールが対応する速度の中から決まります。さらに Cisco の FAQ では、装着先(ホスト)側の制限によって一部の速度しか使えない場合があるとしています。古いサーバーの 1G の NIC や、2.5G / 5G のマルチギガ(NBASE-T)の機器とつなぐ場合は、その速度に対応したモジュールかどうかと、装着先での対応状況を確認します。

FortiGate で使う場合

Fortinet のデータシートに載っている RJ45 のモジュールのうち、10G は FN-TRAN-SFP+GC(30m)と FN-TRAN-SFP+GC-T80(80m)、1G は FN-TRAN-GC(100m)です(ほかに 100M の FN-TRAN-FE もあります)。データシートでは、いずれもデジタルモニタリング(DDM)に非対応とされています。動作温度は FN-TRAN-SFP+GC / GC-T80 が −5〜85℃ です。

  • FortiGate-6000 は FortiOS 6.0.6 で FN-TRAN-SFP+GC に対応し、インターフェースの速度を 10000full に設定する必要があるとされています(リリースノート)。
  • FortiGate-100F / 200F の SFP+ スロットでは、1G の FN-TRAN-GC は非対応とされています(Technical Tip)。
  • Fortinet 認証外のモジュールを挿すと、GUI に警告が表示されるとされています(Fortinet の Technical Tip。詳しくは認証外の警告と TAC の扱い)。

ほかの型番は「FortiGate 用トランシーバの型番一覧」にまとめています。

VREN の 10GBASE-T モジュール

VREN では、10GBASE-T の SFP+ モジュールとして SFP-10G-T-30 と SFP-10GM-T-30 を扱っています。どちらも 1G / 2.5G / 5G / 10G のマルチレートに対応しています(製品仕様)。

項目SFP-10G-T-30 / SFP-10GM-T-30
規格IEEE 802.3an / 802.3bz
対応速度1 / 2.5 / 5 / 10Gbps(マルチレート)
ケーブル・距離Cat6a / Cat7 で 30m
消費電力2.5W 以下
動作温度0〜70℃
保証5年

対向が 1G や 2.5G / 5G の機器でも、モジュール側はこれらの速度に対応しています。実際につながる速度は、装着先の機種でも確認してください。動作温度は 0〜70℃ で、FN-TRAN-SFP+GC や SFP-10G-T-X(−5〜85℃)より狭い範囲です。消費電力が大きい点はほかの 10GBASE-T モジュールと同じなので、装着するポートの数と位置は上の注意点に沿って決めてください。装着先の機種名をお知らせいただければ、適合を確認してご案内します。評価用サンプルは無料です。

よくある質問

Cat6 のケーブルでも 10G で使える?

Cisco・Fortinet の仕様では、10G で使うケーブルは Cat6A 以上です。規格上の 10GBASE-T でも、非シールド(UTP)の Cat6 の距離は 55m が目安で、ケーブルを束ねた最も厳しい条件では 37m に制限されることがあるとされています。SFP+ 型のモジュールで Cat6 を使う場合は、メーカーに確認してください。

1G の機器とつなげる?

モジュールによります。Cisco の SFP-10G-T-X は 100M / 1G / 10G に対応しますが、Fortinet の FN-TRAN-SFP+GC はデータシートのデータレートが 10Gbps のみの記載です。VREN の SFP-10G-T-30・SFP-10GM-T-30 は、どちらも 1G に対応しています(製品仕様)。

光のモジュールと比べた利点は?

既設の LAN ケーブル(Cat6A 以上)を使えるので、短い距離なら光ファイバを敷設せずに 10G でつなげます。一方で、10G での距離は最大 30m の製品が中心で、消費電力も光の SR(OM3 で 300m、FN-TRAN-SFP+SR は 600mW)より大きくなります。

まとめ

  • SFP+ 型の 10GBASE-T は、10G で最大 30m(Cat6A 以上)の製品が中心。規格上の 10GBASE-T(Cat6A で 100m)より短い。80m の FN-TRAN-SFP+GC-T80 もある。
  • 消費電力は 1.88〜2.7W(この記事で取り上げた製品)で、光の SR の数倍。Cisco はすべてのポートには挿せないとし、MikroTik は 1ポートおきの装着を推奨している。
  • 対応速度はモジュールによって異なる。1G・2.5G・5G の機器とつなぐなら、モジュールと装着先の対応速度を確認する。
  • 使えるかどうかと必要な設定(速度の固定など)は、装着先の機種とファームウェアで決まる。

参考資料

本記事は Fortinet, Inc.・Cisco Systems, Inc.・MikroTik が公開しているデータシート・FAQ・技術資料(2026年10月時点)に基づく一般的な技術情報です。仕様・対応機種は変更される場合があります。導入前に各社の最新情報をご確認ください。記載の社名・製品名は各社の商標です。