生成AIの拡大でデータセンター投資が加速するなか、いま最も大きく動いているのが「ネットワーク」です。中でも注目すべきは、AIクラスタの標準的な接続方式が InfiniBand からイーサネットへと主役交代しつつあること。本稿では、スケールアップとスケールアウトという2つの軸を整理しながら、2026年の勢力図と、光通信への影響を見ていきます。
AIクラスタの拡張には、大きく2つの方向があります。スケールアウトは、サーバやラックを横に増やして規模を広げる方式で、多数のGPUを分散接続します(いわゆる東西トラフィック)。ここは長らく InfiniBand とイーサネットが競ってきた領域です。一方のスケールアップは、少数のGPUを密結合して1つの「スーパーGPU」のように扱う方式で、GPU同士が相互のメモリに直接アクセスします。極めて高い帯域と低遅延が求められ、従来はNVIDIAのNVLinkが独占してきました。
生成AIの黎明期、AIバックエンド網は InfiniBand が支配的で、2023年末には約8割のシェアを占めていました。しかし2025年、この構図は逆転します。転機となったのが、2025年6月に公開された Ultra Ethernet Consortium(UEC)の仕様 1.0。イーサネットのネットワークスタックをAI・HPC向けに再設計し、InfiniBand並みの性能を狙うものです。低コスト、相互接続性、そして特定ベンダーに縛られないマルチベンダー性——これらを武器に、イーサネットはAIバックエンド網で InfiniBand を上回りました。
勢いは、これまでNVLinkの牙城だったスケールアップ領域にも及んでいます。2025年10月には ESUN(Ethernet for Scale-Up Networking) が発表され、イーサネットをスケールアップに適用する動きが本格化しました。NVLinkや、その対抗規格であるUALinkと競う構図です。スケールアップは「業界史上最大級の市場拡大」とも言われ、各社が2026年に相次いで対応製品を投入すると見られています。さらにNVIDIAとBroadcomは、複数のデータセンターをまたいで接続する「スケールアクロス」という概念も打ち出しています。
こうした流れを支えるのが、伝送速度の進化です。2026年は 1.6Tbps スイッチが本格量産に入る最初の年とされ、その立ち上がりは800Gよりも速いと予測されています。同時に、スイッチASICと光を一体化する CPO(光電融合) も、InfiniBand・イーサネット双方で量産が始まりつつあります。背景にあるのは、チップ間・ラック間のI/O帯域が演算能力に追いつかない「I/Oの壁」と、増え続ける消費電力という課題です。(速度・実装方式の詳細は「2026年 光通信の最前線」もあわせてご覧ください。)
この主役交代は、ハイパースケーラーだけの話ではありません。イーサネットへの収束が示すのは、オープンな標準・マルチベンダー・光インターコネクトという3つの潮流です。特定ベンダーへのロックインを避け、相互接続性の高い機器を組み合わせて使う——この考え方は、オンプレミスでAI・GPUサーバーを導入する日本の企業にとっても重要です。
最前線が新しいアーキテクチャを競う一方で、ネットワークを実際に動かし続けるのは、確実に相互接続でき、検証され、サポートされた足元の光配線です。潤徳商事(VELRA)は、10G〜40G帯の光トランシーバを、全数互換テスト・国内サポート・3年保証でお届けします。AI時代の土台となるネットワークづくりを、確かな部材で支えます。