
近年、シリコンフォトニクス(Si Photonics)技術が、光トランシーバや光モジュールのサプライチェーンにおいて革命的な役割を果たしつつあります。
海外の市場分析では、シリコンフォトニクスによって製造コストの低減・高集積化が加速し、従来の光モジュール産業構造が根本から変化していると指摘されています。本記事では、なぜ今この技術が注目されているのか、その理由と今後の展望を解説します。
シリコンフォトニクスが「次の成長エンジン」と呼ばれる理由
データセンター向け高速光通信やクラウドインフラの需要増加を背景に、従来のIII–V化合物(インジウムリンなど)ベースのモジュールから、シリコンベースへの転換が進んでいます。その主な理由は以下の通りです。
- 製造コストの劇的な削減:
半導体産業で成熟したCMOSプロセス(シリコンウェハ加工技術)を流用できるため、大量生産時のコストメリットが非常に大きくなります。 - 超高集積化:
光回路と電気回路を一つのチップ上に集積できるため、モジュールの小型化が可能になります。これは、次世代の技術であるCPO(Co-Packaged Optics)の実現に不可欠な要素です。
サプライチェーンの短縮とリードタイム削減
製造面では、「シリコン基板+フォトニクス集積」構造がサプライチェーンを短くし、部材調達・製造リードタイムの削減につながっています。
従来は、レーザー、変調器、受光器などを個別のベンダーから調達し、精密なアセンブリを行う必要がありましたが、シリコンフォトニクスではこれらをウェハレベルで一括製造(モノリシック統合、またはハイブリッド統合)できるため、調達リスクが分散され、安定供給が可能になります。
1.6T時代に向けた日本の動向
この動きを受けて、部材メーカー・モジュールメーカー共に「シリコンフォトニクス適用検討」を積極化しており、我が国(日本)でも関連研究・開発支援が増えてきています。
特にAIデータセンター向けの1.6T光モジュールや、低消費電力が求められるLPO(Linear Drive Pluggable Optics)においては、シリコンフォトニクスの採用が標準となりつつあります。
※関連技術の解説:1.6T光モジュール時代到来:AIデータセンターの変革
潤徳商事のシリコンフォトニクス戦略
今後、光モジュール商社である弊社としても、シリコンフォトニクス対応製品の提案・仕入れ体制の強化が必須となると考えています。
私たちは、シリコンフォトニクス技術を持つ世界中のファブレスメーカーやファウンドリと連携し、最新の技術トレンドをお客様にいち早くお届けする体制を整えています。次世代モジュールのサンプル調達や技術相談については、ぜひお問い合わせください。

