本記事では、AIデータセンターの電力問題を解決する次世代技術 CPO TFLN について解説します。
前回の記事では1.6T光モジュールを取り上げましたが、NVIDIA Blackwellなどの登場により、従来のプラガブルモジュールは「電力の壁」と「密度の壁」に直面しています。
そこで注目されるのが、CPO(光電共実装)技術とTFLN(薄膜ニオブ酸リチウム)材料の融合です。
最新の光通信ソリューションについては、製品一覧ページ(内部リンク)も併せてご覧ください。

1. なぜ「プラガブル」を超えて CPO TFLN が必要なのか?
AIクラスターの通信速度が1.6Tから3.2Tへと移行する中、電気信号の伝送損失が許容できないレベルに達しています。この課題に対し、CPO TFLN は画期的な解決策を提示します。
直面する主な課題:
- 信号品質: レート上昇に伴い電気信号の伝送距離が短くなり、物理的限界に接近。
- 電力効率: 高速伝送維持のためのSerDes消費電力が増大し、データセンターの運営コストを圧迫。
2. CPO:光をチップ内部へ統合する技術
CPO(Co-Packaged Optics)は、光エンジンとスイッチASICを同一基板上に実装し、伝送経路をミリメートル単位まで短縮します。これにより、CPO TFLN ソリューションの基盤となる超低消費電力と高密度化を実現します。
究極の低消費電力
従来のプラガブルモジュールと比較して、消費電力を30%以上削減可能。
超高密度実装
パネルの物理的制限を突破し、より多くの帯域幅を提供。
3. TFLN(薄膜ニオブ酸リチウム)とCPOの融合
CPO TFLN の組み合わせは、材料科学の飛躍的進歩を意味します。従来のシリコンフォトニクスが抱える帯域幅のボトルネックに対し、TFLNは超広帯域と低電圧駆動を実現します。
- 超広帯域: 理論帯域幅100GHz以上。シングル波長200G/400G変調をサポート。
- 低電圧・直接駆動: CMOSで直接駆動可能になり、ドライバアンプを不要にして消費電力を低減。
- 小型化: 薄膜技術により、CPOパッケージ内への統合が容易に。
現在、Lumentum(外部リンク) などの業界大手がTFLNの産業化を加速させており、2025-2026年には CPO TFLN ベースの製品が登場する見込みです。
4. 市場展望:CPO TFLN が切り開く未来
短期的にはLPO技術を採用したプラガブルモジュールが主流ですが、AIモデルの巨大化に伴い、2027年以降のスーパーコンピューティングセンターでは、CPO TFLN 技術がインフラの中核となるでしょう。
Juntokuは、最新のCPO TFLN関連技術や、1.6T/800G光モジュール製品を幅広く取り扱っております。
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